記事要約
・11月末開催のF1カタールGPは安全保障レベル「高リスク」で開催危機か
・2022年サウジGPでもドローン攻撃でFP2が遅延も安全対策強化でレースは実施
・5ヵ月後の開催に向け、F1界は現地情勢の動向を注視することになる
■戦火の影響で開催危機に直面するF1カタールGP
11月30日に開催予定のF1第23戦カタールGP開催が黄色信号をともしている。アメリカとイランの軍事衝突により現地情勢が一変し、開催の安全性が懸念されている。
米軍によるイラン核施設攻撃を受け、イラン革命防衛隊は23日、カタールのアル・ウデイド米空軍基地にミサイルを発射した。ドーハ上空では複数回の爆発音が確認され、カタール当局は一時領空を封鎖し、安全保障レベルを「高リスク」に引き上げた。基地からサーキットまでは直線約39km、車で約40分ほどの近距離だ。
■過去のセキュリティ懸念を克服して開催を実現
2022年のサウジアラビアGPでは、レースウィーク中にイエメンのフーシ派がアラムコの石油施設をドローンで攻撃し、2基のタンクが炎上した。サーキット周辺にも巨大な黒煙が立ち込め、緊迫した状況が続いた。
この影響でフリー走行2回目(FP2)は15分遅延となり、ドライバーやチーム代表、F1 CEOのステファノ・ドメニカリが緊急会議を開いた。一部の関係者が安全面への強い懸念を示したものの、F1運営と地元当局は「最高レベルの安全対策が講じられている」と説明し、予定通り開催を決定した。緊急会議後もレースは最後まで実施され、安全は確保された。
5ヵ月後に控えるカタールGPを前に、F1界は再び緊迫の中で動向を見守っている。