・フェラーリのエルカーン会長が租税回避疑惑で和解、社会奉仕活動へ
・モンテゼモーロは「フェラーリにはリーダー不在」と批判
・長年タイトル争いに絡めず、ファンのために変革を訴え
フェラーリのジョン・エルカーン会長が今週、F1以外の理由でも大きく報じられている。元会長ルカ・ディ・モンテゼモーロが現在のフェラーリの状況に痛烈な批判を投げかけたためだ。
イタリアメディアによると、49歳のエルカーンと兄弟のラポ氏、ジネーブラ氏は、祖母マレラ・カラッチョロの遺産に関連した長年の租税回避疑惑を巡り、イタリア財務省と1億8300万ユーロ(約317億円)の和解に合意。さらにそれぞれ1年間の社会奉仕活動を行うことで、裁判所承認待ちの司法取引に至ったという。
検察は、2019年に死去したカラッチョロ夫人の税務上の居住地をスイスと偽装し、イタリアでの課税を免れようとしたと主張していた。なお、エルカーンは有罪を認めず、ステランティスの会長としても引き続き活動している。
この件は、フェラーリがF1で精彩を欠いて批判を浴び続ける中で発生した。ミラノで開催された「Visioni dal Mondo」フェスティバルで、78歳のモンテゼモーロは次のように語った。モンテゼモーロはシューマッハ時代にスクーデリア・フェラーリをF1黄金期に導いた経験を持つ。
「今のフェラーリを見て悲しく思うのは、リーダー不在だということです。リーダーシップがなく、何より強く決意ある魂が欠けているように見えます。しばしば大きな期待を煽る発表をしますが、本来は結果を出してから発表すべきです」と語った。
「私がフェラーリで学んだことの一つは、勝ったときこそさらに努力すべきだということです。そして、勝てていない今はなおさらです。重要なのは適切な人材を選ぶことです。当時の私は素晴らしい人材を揃えていました。ナンバーワンもナンバーツーもいました。(マッティア)ビノットは続けていればもっと良くなっていたでしょう。絶え間ない交代は、最も大事な安定性を失うことになります。変えるならば、またゼロからやり直さねばなりません。」
モンテゼモーロは、フェラーリがここ数年ドライバーズタイトル争いを最終戦まで持ち込めていないと強調した。
「モンツァでの素晴らしいファンの姿を見ましたが、一方でチームはレース前に多くの発表をしたにもかかわらず、最近は1勝すらできていません。仮に勝てたとしても、フェラーリは長年タイトルを獲得していないのだから、世界選手権を勝ち取らなければなりません」と指摘した。
「私はフェラーリに関わった後半には9回か10回もタイトルを失ったという苦しい経験をしてきました。フェラーリはもう長い間、最終戦までタイトルを狙えるドライバーを擁していません。だからこそ、何よりもファンのために変わってほしい。彼らは揺るぎない信念を示し続けています。今のフェラーリにはファンに対する一層大きな責任があります。」