・マルコ博士、2026年レギュレーションで予選の魅力が失われたと指摘
・エネルギー管理を重視する変化にマルコ博士が苦言
・FIAによる2026年レギュレーション修正の継続と妥協の必要性
元レッドブルF1アドバイザーのヘルムート・マルコ博士は、物議を醸している2026年の新レギュレーションによって、F1の予選が本来の魅力を失ったと語った。
83歳のオーストリア人であるマルコ博士は、わずか数レースを終えた段階でFIA(国際自動車連盟)が緊急的なレギュレーション修正を導入したにもかかわらず、新しいハイブリッド時代に対する最も強い批判者の一人であり続けている。
「これらのエンジン規則への移行によって、多くのことが変わるのは明らかでした」とマルコ博士は『motorsport-magazin.com』に語った。
「しかし正直なところ、予選にこれほど大きな影響が出るとは思っていませんでした。予選の魅力は失われてしまいました」
マルコ博士は、限界まで攻める走りからエネルギー管理の重視へと変化したことで、F1のドライビングの本質そのものが変わったと考えている。
「以前は、限界までブレーキを遅らせ、できるだけ早くアクセルを踏み込み、マシンの能力を最大限に引き出すことが重要でした。しかし今は、エネルギー消費をコントロールすることが重要になっています。それならフォーミュラEがありますからね」
さらにマルコ博士は、現在のレギュレーション下でもレース自体が面白さを保っているのは、一部の技術的な要素に支えられているからだと語った。
「レースが成立しているのは、スタート局面でフェラーリが優位性を持っているおかげです。しかし、オーバーテイクは私たちが慣れ親しんだものではありません」
それでもマルコ博士は、FIAが現在のレギュレーションの中でも特に極端な部分を見直し始めたことについては歓迎している。
「もし電動パワーの割合を徐々に減らし、内燃エンジンの出力を徐々に増やしていけば、最終的には、多かれ少なかれ本来のF1の姿に戻せるでしょう」
またマルコ博士は、レギュレーションの根底にあった当初の哲学が、すでに時代遅れになっているとも主張した。
「これらのレギュレーションは、もともとポルシェやアウディをF1へ参入させるために設計されたものです。その後、キャデラックもF1向けに独自パワーユニット(PU)の開発を決めました。しかし現在は、内燃エンジン回帰の流れが強まっており、これはカーボンニュートラル燃料への移行によって正当化されています」と彼は説明した。
F1はマイアミGPを前に、シーズン中では初となるレギュレーション修正を導入している。これは、ドライバーたちが過度なエネルギー回生やリフト・アンド・コースト、危険な速度差について不満を訴えたためだ。
「最初の変更はマイアミGP前に行われ、それによって一定の改善は見られました。ただし、その効果はわずかです。この方向性での取り組みは今後も続けられますが、非常に難しい課題であり、妥協は避けられません」
F1の電動化路線を批判する一方で、マルコ博士は自身が電気自動車(EV)に反対しているわけではないと強調している。
「私自身もMINI Eに乗っています」と彼は明かした。
「しかし冬場は、1回の充電で走れる距離が大幅に短くなることは認めざるを得ません。都市部では、このようなEVには多くの利点があります。特に街中には充電ステーションも十分ありますからね」
「私は時代についていこうとしているのです。ですが、地方でこうしたEVを運転しようとは思いません」とマルコ博士は付け加えた。
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