F1のエンジン規則を巡る議論が加熱するなか、アウディF1の最高経営責任者であるゲルノト・ドルナーは、自社が2027年からのレギュレーション変更を巡る妥協協議を妨げているとの見方を否定した。
モナコGPの舞台裏では、2027年以降のエンジン規則を巡る議論が主要テーマとなっており、F1、FIA、各マニュファクチャラー(製造メーカー)が、「エネルギーマネジメント重視」と批判される現行レギュレーション下のレース改善に向けた調整を続けている。
アウディはこれまで、規則変更に対して最も慎重なメーカーの一つと見られてきた。同社がF1参戦を決断した最大の理由が、まさに現行のハイブリッド規定を前提としていた点も背景にある。
ドルナーCEOは次のように語った。
「私たちの立場は明確です。根本的に“予測可能性”を重視しています」
モナコGPで記者団の取材に応じたドルナーCEOは、さらにこう続けた。
「私たちはF1に参戦したばかりであり、現在のパワートレインコンセプトに多額の投資を行っています。そのため、短期的な大幅変更に関心が薄いのは当然です」
また、アウディが議論を主導しているとの見方も否定した。
「私たちは5つのエンジンマニュファクチャラーの一つにすぎません。1票を持ち、自らの立場を表明しているだけです」
アウディは依然として、自然吸気V8ではなくターボエンジンを支持している。
ターボ技術の維持について問われたドルナーCEOは、「私たちの観点ではイエスです。気筒数よりも、ターボによる効率向上の方が重要です」と回答した。
一方で、V8そのものに反対しているわけではないとも強調している。
ドルナーCEOは、モナコGPで発表された新型スーパーカー『Nuvolari(ヌヴォラーリ)』の会場で、次のように発言した。
「V8自体に問題があるわけではありません。そうでなければ、新型スーパーカーのヌヴォラーリに搭載するはずがありません」
さらに、自動車業界全体の動向にも言及した。
「電動化への強い流れの後、現在はある種の揺り戻しが起きています。長期的には電動化は進みますが、内燃機関も今後数十年にわたり、重要な役割を担い続けるでしょう」
またアウディF1チームはモナコGPで、伝説的レーサーであるタツィオ・ヌヴォラーリへの敬意を込め、アウディF1として初となるブラックとイエローを基調とした特別カラーリングを披露した。
2027年以降、内燃機関の出力を引き上げる方向で妥協が近づいているとの報道もあるが、関係者は依然として「合意は成立していない」と強調している。
キャデラックF1のダン・トウリスCEOは次のように述べた。
「プロセスは進行中です。現時点で確定しているものは何もありません」
アルピーヌF1のエグゼクティブアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレも、これに同調した。
「同じ見解です。それ以上話すことはありません」
アストンマーティン・ホンダのチームアンバサダーであるペドロ・デ・ラ・ロサも、次のようにコメントした。
「私たちが把握していないことについて、現時点で語ることはできません」
一方、キャデラックは、F1がどの方向性を選択しても対応する構えを見せている。GM(ゼネラルモーターズ)は2029年にV6パワーユニットを投入する計画を維持しつつ、将来的なV8導入にも前向きだ。
「V8エンジンを製造することになっても、私たちは歓迎します」
一方、現行レギュレーションへの不満を強く示したのが、アストンマーティン・ホンダのフェルナンド・アロンソだ。
モナコGP金曜フリー走行後、44歳のベテランドライバーは次のように語った。
「これは僕がモナコで走った中で、おそらく最悪の世代のマシンです」
モナコGPではバッテリー管理の影響が一部軽減されるものの、根本的な問題は残っていると指摘する。
「ブレーキングやアクセルオフでバッテリーを充電する仕組みのせいで、エンジンブレーキに予測不能な挙動が発生しています。バッテリーが満タンになるとそれ以上は充電できず、エンジンブレーキが効かなくなり、後ろから押されるような感覚になるのです」
そのうえで、問題の本質はレギュレーションにあると断言した。
「問題はレギュレーションの構造にあります。ハイブリッドカーはそもそもレースをするべきではありません。それだけです。」
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