記事要約
・2026年、F1は5メーカー体制へ移行し、新たなPU勢力図が形成される。
・ルノーがPU製造から撤退し、アルピーヌはメルセデスPUを搭載することが決定。
・フェラーリ、メルセデス、ホンダ、レッドブル・フォード、アウディの5メーカーがPU開発競争を繰り広げる。
■キャデラックF1のPU事情:当面はフェラーリPU、独自PU開発へ
新規参戦がようやく決定したキャデラックF1は、2026年から数年はフェラーリのパワーユニット(PU)を搭載するが、10年以内に独自PUを開発し、完全なワークスチームとしてF1を戦うことを目指している。
そのために、GMはすでにPU開発のための新会社「GMパフォーマンス・パワーユニットLLC」を設立し、エンジン開発の準備を進めている。PU開発には長期間を要するため、まずはフェラーリのPUを活用しながらF1の技術的なノウハウを蓄積する狙いだ。
■2026年、F1は5メーカー体制へ!PU戦争が激化
2026年のF1は、エンジンレギュレーションの変更に伴い、5つのパワーユニット(PU)メーカーが供給を行う体制へと移行する。新たな勢力図の中で、ホンダとアウディのワークス参戦、レッドブルとフォードの提携、そしてルノーの撤退が大きなトピックとなっている。
2024年9月30日、F1通算177勝を誇る名門ルノーはPU製造から撤退すると発表。これにより、子会社のアルピーヌF1チームは、2026年からメルセデスPUを搭載することが決定した。
一方で、ホンダがHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)を主体として正式にワークス復帰し、アストンマーティンへPUを供給。さらに、フォードがレッドブルと提携し、新たなPUを開発するなど、勢力図が大きく変わることになる。
■2026年F1 PU別チーム一覧
2026年のF1で、各PUメーカーが供給するチームは以下の通りとなる。
■メルセデスPU:4チーム
・メルセデス
・マクラーレン
・アルピーヌ(ルノー撤退に伴い変更)
・ウィリアムズ
■フェラーリPU:3チーム
・フェラーリ
・ハース
・キャデラック(新規参戦)
■レッドブル・フォードPU(新規参戦):2チーム
・レッドブル
・レーシングブルズ
■ホンダPU(正式復帰:現HRC):1チーム
・アストンマーティン
■ アウディPU(新規参戦):1チーム
・アウディ(新規参戦:現ザウバーを買収済)
この構図を見ると、メルセデスが最多の4チームを抱え、フェラーリが3チーム、レッドブル・フォードが2チームを供給する形となる。ホンダとアウディはワークス体制の1チーム供給となるが、その分PU開発に集中できる。
■2026年以降のPU競争の展望
2026年のF1レギュレーションでは、電動パワーの比率が増加してエンジンと電動は50:50に、さらに100%持続可能燃料(e-fuel)が義務化される。これにより、PUメーカーの開発競争はこれまで以上に激化する見込みだ。
特に、レッドブル・フォードとアウディは新規PU開発となるため、2026年の初年度は苦戦する可能性がある。一方、メルセデス、フェラーリ、ホンダはPU開発のノウハウが豊富なため、競争力を維持しやすいと予想される。
HRCの渡辺康治社長は、将来的に複数チームへPUを供給する意向を示しており、早い段階で2チーム目の供給先を決める可能性がある。特に、現在メルセデスやフェラーリのPUを使用するカスタマーチームが候補となるかもしれない。
キャデラックF1が将来的に独自PUを開発すれば、F1のエンジン勢力図はさらに変化し、2030年代には「6メーカー体制」へと進化する可能性も十分にある。