F1で黙々と働くイタリアの公式タイヤ供給メーカー、ピレリ。そんな彼らの企業名と「タイヤ」が突然、バズワードになった。
走行中にタイヤが破裂したり表面が削れて内部構造がむき出しになったりして、ピレリが大問題を起こしたのは2~3年前。同社F1タイヤの開発責任者ポール・ヘンベリーは先週、ようやく「悪者」のレッテルが取れて清々したと語っていた。
しかしひと皮むけば、依然として不満はくすぶっている。
「パワーユニット」時代に突入した今季、ピレリはより保守的な姿勢に転じた。ドライバーたちが「コンクリートのように硬い」とささやくタイヤで出すラップタイムは、平凡なものばかりだ。
最近までピレリを履いてF1を走り、今年からは仏ミシュランを装着したポルシェに乗ってスポーツカーレースに出場するマーク・ウェバー。同社のタイヤで毎周いかに各コーナーを攻めるか、走りについて会話しているときの彼は嬉しそうだ。
ミシュランは先週、2017年以降のF1独占タイヤ供給を検討していると明らかにした。
これに反発したのはバーニー・エクレストンだ。ショーとしてのスポーツを意識したピレリの製品に反して、ミシュランは「石より硬いタイヤ」を作るに違いないと発言したのである。
しかし、ルマン24時間レースとF1の両方でミシュランを経験した元ドライバーのアラン・マクニッシュは、次のように語る。「意見をいうのは自由だ」
「(でも私は)過去18年、そんなタイヤで走った経験はないといっておこう」。以上のように自身のツイッターとフェイスブックで語るマクニッシュ。
だがピレリをF1に残したいエクレストンには、強力な助っ人がいる。
2014年のF1世界選手権で総合優勝したチーム、メルセデスAMGの技術主任パディ・ロウは、ピレリがF1のショーアップに「多大な」貢献を果たしたと考えている。たとえ一部のドライバーが何をいおうともだ。
「ピレリが参入して以来、F1は断トツにエキサイティングなレースになった」
最後までプッシュしたいのにできないと不満をいうドライバーの気持ちも分かると話すロウ。「だが、かつてタイヤは(F1の)一要素に過ぎなかったように思う」
「今、タイヤが競争に占める割合は少し増えたかもしれない。その一方で、ドライバーに必要な技のひとつにタイヤの使い方が加わった面もある。結局はすべてがF1をエキサイティングに見せるパッケージの一部なのだ」