記事要約
・リンドブラッド、F1デビュー戦で驚きの8位入賞
・13歳でセリアック病と診断、2年間成長停止も
・ハミルトンが称賛と助言を送る
●【F1ライブ結果速報】F1第2戦中国GP、日本GPもライブでお届け
今季のF1で唯一のルーキーであるアービッド・リンドブラッドは、10代前半に発症したセリアック病によって成長が2年間停滞するという困難を経験しながらも、オーストラリアGPでのデビュー戦でいきなり入賞を果たした。
ドイツのモータースポーツ専門誌である『Auto Motor und Sport』は、2026年シーズン開幕戦後のドライバー評価で、レース優勝者ジョージ・ラッセルとリンドブラッドを同等と評した。
18歳のレーシングブルズ所属ドライバーであるリンドブラッドは、オーストラリアGPで8位入賞。F1史上3番目の若さでのポイントを獲得した。この記録を上回るのは、17歳でレッドブルのジュニアチームから活躍したマックス・フェルスタッペンのみであり、最年少デビュー記録でもフェルスタッペンが上位に位置している。
同誌は、リンドブラッドに10点満点中9点を与え、これはラッセルやシャルル・ルクレールと並ぶ高得点だった。ドライバー評価記事は「ルーキー、勝者ラッセルに匹敵する走り」という見出しで始まっている。
当のリンドブラッド本人も、この結果には驚きを隠せなかった。
「彼らと一緒にレースができて本当にワクワクしました」と語る。
「僕はテレビでルイス(ハミルトン)を見て育ちました。彼は、僕がこのスポーツを好きになった大きな理由の一人なんです。正直、“これは夢じゃないか”と自分の頬をつねって確かめたくなる瞬間もありました」
憧れのハミルトンも称賛とともに若きルーキーへアドバイスを送った。
「今この瞬間を楽しむべきですね」とハミルトン。 「ここに来ると、いきなり厳しい最前線に放り込まれます。F1というサーカスに慣れるには時間もかかります。もちろん悪い日もあるけれど、あまり深刻に受け止めすぎないことが大切です」
そもそもリンドブラッドがF1まで到達したこと自体、驚くべき物語だ。
13歳のとき、グルテンが小腸に炎症を引き起こす慢性自己免疫疾患「セリアック病」と診断され、治療のために成長期の2年間をほぼ失った。
この病気は彼の身体的成長にも影響を与え、現在の身長は173㎝。ただし、シングルシーターではむしろ不利ではない。「起こることすべてに意味があると思うんです」と彼は笑顔で語る。
リンドブラッドはまたディスレクシア(読字障害)も抱えており、Aレベル(英国の大学入学資格試験)の科目では読解量の多い科目を避け、数学と化学を選択した。
ロンドン西部生まれのリンドブラッドのヘルメット後部には3つの国旗が描かれている。父ステファンはスウェーデン人で熱心なモトクロスファン。3歳のときに息子をモータースポーツの世界へ導いた。母アニタはインド系のルーツを持つ。
リンドブラッドは13歳でレッドブル育成プログラムに加入。奇しくもそれはセリアック病と診断された年でもあった。きっかけはレッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコ博士の目に留まったことだった。
さらに彼は7歳の頃から、現在フォーミュラEのドライバーであるオリバー・ローランド(日産)の指導を受けており、ローランドはオーストラリアGPのレーシング・ブルズのガレージにも姿を見せていた。「彼がいなければ、今ここに僕はいなかったでしょう」とリンドブラッドはローランドに感謝する。
ジュニア時代の実績は圧倒的だ。2023年にはイタリア、ヨーロッパ、UAEのF4選手権を制覇し、名高いマカオレースでも優勝。続く2024年にはF3史上最年少優勝記録を樹立し、2025年にはF2でも史上最年少で覇者となっている。