・FIAは苦戦メーカー救済のため、エンジン開発支援制度ADUOの初回評価を前倒しで実施する方針を示した。
・中止2戦の影響による評価遅延を是正し、当初スケジュールへ戻す狙いで制度前倒しが検討されている。
・2026年規則への批判や性能格差を背景に、競争均衡を求める声が強まっている。
●【F1ライブ結果速報】F1中国GP、日本GPもライブでお届け
F1を統括するFIA(国際自動車連盟)が、苦戦するエンジンメーカーの巻き返しを後押しするため、新たな救済制度であるADUO(追加開発・アップグレード機会)の初回評価を前倒しする方向で動いているようだ。現在、圧倒的な優位に立つメルセデスとの差を早期に縮める狙いがある。
ドイツの『motorsport-magazin.com』によれば、FIAはこのADUO制度に基づく最初の性能評価を、当初の予定より早める案を提示する見通しだ。その背景には、F1バーレーンGPとF1サウジアラビアGPが中止となった影響もあるという。
当初のスケジュールでは、パワーユニット(PU)メーカー間の最初の性能比較は開幕から第6戦終了後に行われる予定だった。しかし、4月開催分の2レースが中止したことで、その節目は6月上旬のF1モナコGP後までずれ込むことになった。
この遅れは、現時点で最強のPUを持つメルセデスに有利に働くとみられている。
そのためFIAは、実質的に当初の想定時期へ近づける形で、シーズン前半のより早い段階でADUOの初回審査を実施する案を検討しているようだ。実現すれば、第4戦F1マイアミGP後に最初の見直しが行われる可能性もある。
この案には広く支持が集まるとみられており、反対するのはメルセデスだけになる可能性が高い。
ADUOのルールでは、基準となる性能から2パーセント以上遅れているメーカーに対し、追加の開発自由度が認められる。差がさらに大きい場合には、より大きな優遇措置も与えられる仕組みだ。
フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールも、この制度の重要性を認めている。
「これは差を縮める機会になるでしょう。ですが、パフォーマンスはエンジンだけで決まるものではありません。エネルギーマネジメント、シャシー、タイヤなど、すべてが関わってきます」
今回の前倒し案が浮上している背景には、2026年レギュレーションへの不満の高まりがある。新しいPUコンセプトへの批判に加え、グリッド全体で信頼性への不安も広がっており、メーカー間の競争力格差もすでに明確になりつつある。
関係者の中には、何らかの手当てを行わなければ、2014年のハイブリッド時代初期のような一強状態が再び起こりかねないと懸念する声もある。
元F1ドライバーのフェリペ・マッサはスペインのスポーツ紙『Diario Sport(ディアリオ・スポルト)』に次のように語っている。
「今は確かに、強いチームは現状維持を望み、それ以外のチームは変化を求めるという状況が確かにあります。もし規則を修正しなければ、以前と同じような展開になるでしょう」
さらにマッサは、シーズン開幕後もなお「メルセデスが本当の実力をすべて見せていないのではないか」というパドック内のうわさにも言及した。
「もしかするとメルセデスにはまだ“魔法のボタン”があるのかもしれませんね」とマッサは笑顔で語った。
中国GPでニューウェイ不在 憶測拡大に揺れるアストンマーティンF1の現状