F1は、物議を醸している次期パワーユニット(PU)レギュレーションについて、妥協案に向けて前進しているとみられる。ただし、現時点で最終合意には至っていない。
6月2日にロンドンで開催されたF1コミッションの会合後、FIA(国際自動車連盟)は「空力およびボディワークコンポーネントに関する軽微な変更が合意された」とのみ発表した。
一方、舞台裏では将来のエンジン規則を巡る議論が激化しており、今週末のモナコGP期間中にも追加協議が行われる見通しだ。
イタリアメディアの報道によると、各マニュファクチャラー(PUメーカー)は内燃機関(ICE)と電気モーターの出力比率を段階的に移行させる妥協案を協議している。この案では、当初目標とされた「ICE60:電気40」の完全達成を、2028年まで先送りする可能性があるという。
さらに提案の一つとして、初期段階ではICE出力の引き上げを約5%にとどめ、シャシーやエンジン、ギアボックスの大規模な再設計によるコスト増を回避する案も浮上している。一方、当初通り60:40の比率を実現する場合には、ICE出力を約13%引き上げる必要があるとされる。
また別のシナリオとして、早ければ2029年にも、小型KERS(運動エネルギー回生システム)を組み合わせた2.6リッター自然吸気V8エンジンへの移行案も議論されている。
マニュファクチャラー間では、依然として意見が割れている。
メルセデスとレッドブルは現行方針の維持を支持する一方、アウディとアストンマーティン・ホンダは妥協案を支持。フェラーリは変更に反対する姿勢を崩していない。
一方で、フェラーリ寄りの立場にあるとされるキャデラックは、メーカー間の妥協点を探る調整役として動いていると報じられている。キャデラックの親会社であるGMも、将来的なV8案には前向きな姿勢を示している。
将来的なV8エンジン復活を支持する動きも強まっている。
FIA会長モハメド・ビン・スライエムはこの構想を支持しており、F1の最高責任者ステファノ・ドメニカリもV8回帰について「1000%支持する」と発言している。
多くの専門家や関係者は、F1のイメージ悪化を防ぐためにも、早急な対応が必要だと考えている。
ドイツの専門誌『Auto Motor und Sport』のミハエル・シュミット記者は、現行レギュレーションについて「ゴミ箱行きだ」と厳しく批判した。
シュミットは、50:50のエネルギー配分は「マーケティング上の演出に過ぎません」と指摘し、F1が馬力ではなくメガジュールで説明せざるを得ない現状について、「ファンとのコミュニケーションで敗北しています」と述べた。
「街に出て『メガジュールとは何か』と聞いてみればいい、大半の人は見当もつかないはずです」
さらに、FIAがメーカーに過度な影響力を与えた結果、規則設計が迷走していると分析。「その場しのぎの対応が続いています」と批判している。
最後にシュミットは、「2030年まではこのレギュレーションを何とか維持し、その中で最善を尽くすしかないです」としつつ、「次のレギュレーションこそ完璧に仕上げる必要があります」と語った。
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