・グッチ、2027年からアルピーヌのタイトルスポンサーに就任
・メルセデス、約1,150億円とされる株式取得交渉から撤退
・ルノーはホーナー側の取得案も阻止、支配株76%を維持する方針
高級ファッションブランドの『GUCCI(グッチ)』が、2027年からアルピーヌのタイトルスポンサーとしてF1に参入することが明らかになった。
ここ数週間にわたり、エンストン(イギリス)を拠点とするアルピーヌとの提携が噂されていたが、それが正式に確認された形だ。
チームは、来季から『Gucci Racing Alpine Formula One Team』の名称で参戦すると発表した。
この提携により、長年スポンサーを務めてきたBWTによる、ブルーとピンクを基調とした現在のカラーリングから変更されることになる。
アルピーヌのアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは、この契約を歓迎した。
「グッチのような名高いブランドと、F1でタイトルパートナー契約を結べたことを非常に誇りに思っています。エンストンを拠点とするチームは、常に他とは一線を画す歴史を持ち、ファッションがF1でトップに立てることをこれまでも示してきました」
今回の動きは、ルノーの元CEOであるルカ・デメオとの関係性という点でも興味深い。
ルカ・デメオはブリアトーレをアルピーヌのアドバイザーとして招いた人物だが、昨年ルノーを離れ、現在はグッチの親会社であるケリングのCEOを務めている。
ルカ・デメオは、F1の商業的な急成長がグッチ参入の決め手になったことを隠さなかった。
「F1は、もはや単なるスポーツの枠を超えています。今では世界で最も影響力のあるプレミアム・コンテンツ・プラットフォームの一つになっています」
グッチとのスポンサー契約が成立した一方で、アルピーヌでは少数株主が保有する株式の売却交渉も進められていた。
売却が検討されていたのは、ルノーが保有する支配株76%ではなく、ニューヨークを拠点とする投資ファンド、オトロ・キャピタルが保有する24%の株式だ。
報道によれば、メルセデスはこの株式を取得する交渉から撤退したという。
交渉は数か月にわたって続いていたとされ、メルセデスとメルセデスF1のトト・ウォルフ代表は、少数株式の取得に関心を示していた。
しかし、協議は評価額を巡って決裂した。
複数の報道によれば、オトロ・キャピタルは24%の株式に対して約7億2000万ドル、日本円で約1,150億円を求めていたとされる。
これは、エンストンを拠点とするチーム全体の評価額が30億ドル近く、日本円で約4,800億円に達することを意味する。
一方、メルセデスはチームの価値をそれより低く、約22億〜24億ドル、日本円で約3,520億〜3,840億円と見ていた。
※1ドル=約160円(6月上旬為替)で換算すると、7億2000万ドルは約1,150億円、30億ドルは約4,800億円、22億〜24億ドルは約3,520億〜3,840億円。
「私たちの理解では、交渉は打ち切られました」と、ルノー関係者が語ったと報じられた。
メルセデスとの交渉が決裂した一方で、同じ24%の株式には、レッドブルF1チーム元代表のクリスチャン・ホーナーも関心を示していた。
スペインとイギリスの報道によれば、ホーナーは株式取得に関心を持つ投資家グループをまとめていたという。
しかし、アルピーヌの支配株76%を保有するルノーは、ホーナーのグループが関与する取引を阻止するため、拒否権を行使したとみられている。
今回の動きにより、ホーナーのF1復帰計画はますます不透明になった。
最近では、中国の自動車大手BYDとの関係も取り沙汰されている。BYDの副社長ステラ・リーがカンヌ国際映画祭でホーナーと面会しており、同社がF1参入を検討しているとの報道も出ていた。
しかし、ルノーが支配株の維持を決意し、メルセデスとホーナー関連の動きの双方を阻止したとされる現状では、アルピーヌ経由でのF1復帰は難しそうだ。グッチとの大型契約が決まる一方、メルセデスによる株式取得交渉は決裂し、ホーナー側の取得案にもストップがかかった形となった。
現時点では、ホーナーにとってF1復帰の現実的なルートは、BYDが将来的に12番目のチームとしてF1参入を決断し、独自プロジェクトを立ち上げるかどうかに左右されるのかもしれない。
オトロ・キャピタルが保有する24%の株式の行方は未定だが、ルノーは支配株76%を維持しながら、F1での再建を進める方針だ。
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