フェラーリのシャルル・ルクレールがモナコGPで怒りをあらわにした発言を巡り、ブレーキメーカーのブレンボだけに責任を求めるのは早計だった可能性がある。イタリア発の新たな分析では、そうした見方が示されている。
ルクレールは、モナコGPで表彰台を狙える位置を走行していたが、クラッシュによりリタイアした。レース後には激しい怒りをあらわにし、深刻なブレーキ問題が以前から続いていたと主張。「こんなことで僕が責任を取らされるつもりはありません」と訴えた。
この騒動は、ブレンボが異例の声明を発表したことでさらに広がった。ブレンボは、ルクレールの発言に「非常に驚いている」とし、データを分析する前に結論を出すのは時期尚早だと警告した。
しかし、イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』の著名な技術アナリスト、パオロ・フィリセッティは、実際の状況は単純なブレーキ故障よりもはるかに複雑だった可能性があると見ている。
「具体的に言えば、原因と解決の糸口は同じところにある可能性があります」とフィリセッティは書いている。
「後輪ブレーキのエネルギー回生システムと、ディスクおよびパッドの性能発揮温度域に関係する複数の要因や調整が重なったものと考えられます」
F1で電動化が大幅に進んだ2026年レギュレーションの導入により、ブレーキシステムはこれまで以上にエネルギー回生と密接に関わるようになっている。
フィリセッティは、モナコ特有の状況が問題を悪化させた可能性も指摘した。
「この週末に限って、FIAが安全上の理由から電動システムの出力を下げることを選んだという事実を、過小評価すべきではないと思います」と説明している。
イタリア人技術アナリストによれば、エネルギー回生量の低下と、平均速度の低いモナコの特性が組み合わさったことで、ルクレールのリアブレーキが理想的な温度域を下回って作動していた可能性があるという。
「冷えすぎていたため、ディスクとパッドの間で高い摩擦を確保できなかったのです」と説明した。
「このコースでは、ストレートエンド※での深いブレーキングがほぼ完全に存在しません」
※ストレートエンド:直線の終わりで、コーナーに向けてブレーキングに入る場所
フィリセッティは、最終的にはテレメトリー分析によって何が起きたのかが正確に判断されることになると強調した。その一方で、重要な手がかりもあると指摘している。
チームメイトのルイス・ハミルトンは、数戦前にブレーキ仕様を変更して以降、同様の問題を経験していない。
「ハミルトンが何の問題も抱えなかった一方で、ルクレールは週末を通じてブレーキのフィーリングが完璧ではないと繰り返し述べていました。この事実は、3戦前からルイスのマシンに採用された解決策が、同じ問題の再発を防いでいたことを示唆しています」とフィリセッティは語った。
ルクレールは、次戦バルセロナ・カタルーニャGPで、ハミルトンと同じブレーキ構成に移行する見通しだ。その仕様には、カーボン・インダストリー製のディスクなどが含まれると報じられている。
この余波は、パドックの外にも広がった。
ブレンボの株価は、モナコGP週末前の11.21ユーロから、月曜日の取引再開時には11.04ユーロまで下落した。下落率は約1.5%で、時価総額ベースではおよそ100億円規模の減少に相当する。
※11.21ユーロ=約2,078円(1ユーロ=約185.37円、6月10日為替レートで換算)
※11.04ユーロ=約2,046円(1ユーロ=約185.37円、6月10日為替レートで換算)
一方、元F1ドライバーのヴィタリー・ペトロフは、クラッシュの原因がブレーキだけだったとは考えていない。
「ルクレールのブレーキ問題だけが原因だったとは思いません」とペトロフは、メッセージアプリ『Telegram』で語った。
ペトロフは、ルクレールが大量のタイヤかす、いわゆる“マーブル”を拾っていた可能性があり、さらにランス・ストロールのケースと同様に、アスファルトの剥がれもクラッシュの一因になった可能性があると見ている。
「彼は単純に曲がれなかったのです」とペトロフはルクレールについて語った。
「もうひとつの要因は、損傷したアスファルトでした」
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