FIAは、レッドブル・フォードの強い反発を受け、物議を醸しているADUOエンジン評価システムによるエンジン評価結果の確定を延期した。
FIAはモナコGPの期間中、非公開で各マニュファクチャラーに対し、レッドブルがF1で最も強力な内燃機関(ICE)を搭載していると通知した。
これにより、レッドブルは新たな開発優遇措置制度におけるベンチマーク(基準)とされ、パフォーマンス向上を目的とした開発アップデートの対象外となる見通しとなった。
一方、メルセデス、フェラーリ、ホンダ、アウディの4社は、それぞれ異なるレベルの開発支援の対象となる見込みだ。
しかし、2026年シーズン開幕以降、ここまでの全レースをメルセデス製パワーユニット(PU)搭載車が制していることから、この判断は直ちに大きな議論を呼ぶこととなった。
フランス紙『L'Équipe(レキップ)』によると、FIAはこれを受けて数値の再検証を行うことで合意した。
同紙はFIA関係者の発言として、「結果の確実性を確保するため、計算を見直し、数値を精査する」と伝えている。
FIAは開幕から5戦分のデータを再確認し、全車に搭載された標準化トルクセンサーの測定値を改めて検証する見通しだ。
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、今回の評価結果にチーム全体が驚いたことを明かした。
バルセロナ・カタルーニャGPで、フェルスタッペンは次のように語った。
「あのニュースには、チーム全員が驚いたと思います。どのような根拠でその結論に至ったのか、現在もFIAと話し合いを続けています」
さらに、現在再検証が進められていることにも言及した。
「僕たちのエンジンが全チームの中で最も強力な内燃機関だと言われても、正直困惑しています。少なくとも僕たちとしては、自分たちが最もパワフルな内燃機関を持っているという感覚はまったくありません。FIAが再検証を行っていることは、良いことだと思います」
チームメイトのアイザック・ハジャーも、同様に懐疑的な見方を示した。
「今季開幕から6戦を全勝したか確認してみましたが、そんな事実はありませんでした」と皮肉を交えて語り、「最終的な結論を待っている段階なので、現時点ではこれ以上のコメントは控えます」と付け加えた。
レッドブルが今回の結果に異議を唱える一方で、ホンダはADUOに基づく評価について比較的落ち着いた姿勢を示している。
株式会社ホンダ・レーシング 代表取締役社長 渡辺康治氏は、バルセロナで次のように語った。
「私たちの予想とFIAの評価は近いものです。レッドブル・パワートレインズは素晴らしい仕事をしたと思いますし、その成果には敬意を表しています。FIAから提示された数値も、私たちにとっては十分に納得のいくものでした」
また、今回のADUO評価が内燃機関(ICE)のみを対象としており、電動要素が含まれていない点も議論の焦点となっている。
メルセデス製PUを搭載する、ウィリアムズF1のチーム代表ジェームズ・ボウルズは、レッドブルが内燃機関ランキングで首位に立ったことについて、驚きはないと語る。
「バーレーンでも公にそう話したと思いますが、私の見立てでは、レッドブルが最もパワフルなエンジンを持っているように見えました」
「重要なのは、ICEと電動側の2つの側面があるということです。ADUOはICEのみを評価対象としています。そしてメルセデスは電動側で優れた効率を持っており、他チームよりエネルギー回生の面で強みがあります」
ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンも、この状況の複雑さを指摘する。
「皮肉な話ですが、どのメーカーも『最強』と認定されたいわけではありません。その結果として、政治的な駆け引きや矛盾が生まれています」
フェラーリのルイス・ハミルトンは、仮に開発優遇措置が認められたとしても、その効果は即座には現れないと強調し、イタリアの衛星放送局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように語った。
「来週すぐにアップグレードできるものではありません。エンジン開発と信頼性の両立を証明するには、数カ月単位の時間が必要です」
一方、イタリア紙『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デッロ・スポルト)』は、フェラーリはすでに2段階のアップグレード計画を準備していると報じている。
オーストリアGPから改良を投入し、さらにイタリアGPで第2段階へと進化させる構想で、合計で約30馬力の向上を目指しているという。
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