フェラーリF1の“切り札”に慎重判断 ADUO改良型PU、ハースとキャデラックが見送りか

2026年06月28日(日)14:52 pm

記事要約


・フェラーリ系のハースとキャデラックが改良型PU導入を見送り

・スペア不足や信頼性リスクを懸念し、導入時期は未定

・フェラーリは空力改良も投入も、メルセデス優勢の見方続く


フェラーリのカスタマーチームが、アップグレード版パワーユニット(PU)をオーストリアGPで導入しなかったことが分かった。

規則上は新仕様の供給が義務付けられているものの、実際に使用するかどうかの判断は各チームに委ねられている。

このアップグレードは、フェラーリが「ADUO(アップグレード開発・救済措置)」の一環として改良型PUを投入したもので、首位を走るメルセデスとの差を縮める切り札として期待されていた。

しかし、カスタマーチームのハースとキャデラックはいずれも導入を見送っている。

■小松代表「使用時期は未定」慎重な判断

ハースF1代表の小松礼雄は、導入見送りについて問われると、笑みを浮かべながら「それはフェラーリに聞くべき質問です」と語った上で、「ここではアップグレードは使用しません」と明言した。

さらに、「いつ導入するかは決めていません。新しい仕様は義務ではありません」と述べ、導入時期を慎重に見極めている姿勢を示した。

■供給不足とリスク回避 カスタマー側の判断

ドイツ誌『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によると、アップグレード版PUはすでにカスタマーチームへ供給されているものの、モナコGP後にFIAの承認を受けて開発が加速した影響で、スペアパーツの供給は極めて限られているという。

このためハースとキャデラックは、フェラーリが「完全にレース対応可能で合法」と主張する一方で、信頼性リスクやクラッシュ時のスペアパーツ不足を懸念し、導入を見送った形だ。

フェラーリは、生産体制が整い次第、ベルギーGP以降にカスタマーチームでの使用が始まる可能性があるとしている。

■空力アップデートと勢力図 依然としてメルセデス優勢

フェラーリはオーストリアGPで空力アップデートも投入し、フロントウイング・エンドプレート※やエキゾースト周辺※、サイドガイド・ベーン※などに改良を加えている。

※フロントウイング・エンドプレート:フロントウイング両端の板状パーツで、気流の横方向への流れを制御し、ダウンフォース効率や空力バランスに影響する重要な部位。
※エキゾースト周辺:排気管まわりのエリア。排気ガスや熱が周辺気流に影響するため、リア周辺の空力効率に関わる重要な部分。
※サイドガイド・ベーン:サイドポッド周辺に配置される小型の空力フィン。車体側面の気流を整え、リア周りへ流れる空気を安定させる役割を持つ。

一部メディアは、フェラーリが金曜日にマシンのリア部分の画像を一切公開しなかった点に注目している。

また、今年注目を集め、他チームの模倣も招いている巧妙な「エキゾーストウイング」をめぐっては、FIAが禁止方針を検討しているとの報道も出ている。

こうした開発は、バルセロナ・カタルーニャGPでルイス・ハミルトンが勝利し、フェラーリがタイトル争いへの希望を取り戻したことを受けて進められているものだ。

しかし、金曜日のFP1では、依然としてメルセデスが基準となる速さを示したとの見方が強い。

元F1ドライバーでフェラーリのアンバサダーを務めるマルク・ジェネは「ターン1では、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリのマシンがフェラーリより明らかに優れているのが分かります。ちなみにキミは、ここではチームメイトのジョージ・ラッセルよりも明らかに速いです」と語った。

オーストリアGPの舞台となったレッドブル・リンクでは、勢力図の差が改めて浮き彫りとなった。

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