マックス・フェルスタッペンが、中国GT選手権で炎上したマシンからライバルを救出したオランダ人GTドライバー、ルーク・ハルトフの勇気ある行動に最大級の敬意を表した。
事故は9月5日、上海インターナショナル・サーキットで行われた中国GT選手権第4戦のレース1で発生した。
レース開始から約20分後、複数台が絡む大事故が発生。そのうちの1台が、オリー・ミルロイの91号車フェラーリ296 GT3に激しく衝突した。
ミルロイのフェラーリは衝突直後に炎上し、そのままバリアにも衝突。ミルロイは意識がもうろうとした状態で、燃え上がる車内に取り残された。
その光景を目撃した23歳のオランダ人ドライバー、ルーク・ハルトフは、自身が運転していたファントム・チームの79号車ポルシェをコース上に止め、すぐにマシンを降りて救助へ向かった。
ハルトフは当初、ミルロイを直接引き出そうとしたものの、炎が激しく、近づくことができなかった。
そこで近くにいたオフィシャルから消火器を受け取り、炎を抑えながら車内へ接近。最終的にミルロイを炎上するフェラーリから救出した。
ハルトフは当時の状況について、次のように振り返った。
「遠くでマシンが巨大な火の玉になるのが見えました。ドライバーが自力で脱出できないかもしれないと本気で思ったので、止まってマシンを降り、現場へ向かいました。迷いは一切ありませんでした」
「恐ろしかったですし、オリーを助け出せないのではないかと思った瞬間もありました。でも、僕がしたことが重要なのではありません。僕と同じ状況にいたら、多くの人が同じように行動したと思います」
事故後、レースは赤旗中断となり、そのまま再開されなかった。
ミルロイには、事故の約30秒前から救出後約1時間までの記憶がないという。
この事故で肋骨6本を骨折したほか、鎖骨や手を負傷し、肺にも損傷を負った。手術を受けたミルロイは、病院からハルトフへの感謝を表明した。
「今夜、僕がまだ生きているのは、すべて一人の人物のおかげです。ルーク・ハルトフは、コースマーシャルも消防隊も見当たらない中ですぐに止まり、自分の命を危険にさらして僕を車から救い出してくれました」
「事故の30秒前から、その約1時間後まで何も覚えていません。しかし、彼の信じられないほど勇敢な行動は、一生忘れません」
「いつか3人の子どもたちにこの話をするでしょう。子どもたちにとって、ルークは史上最大のスーパーヒーローになるはずです」
その後、救出時の映像を確認したミルロイは、ハルトフの一連の対応について「すべての行動が完璧だった」と称賛した。
「映像を見ると、まるで映画のようで、すべてが事前に練習されていたかのように見えます。命に関わるやけどを負わずに済み、僕が生きていること自体が奇跡です」
オランダの放送局『Viaplay(ヴィアプレイ)』からハルトフの行動について尋ねられたフェルスタッペンは、同じオランダ人GTドライバーの勇気を称賛した。
「信じられない行動でした。彼は本当によくやりました。とても尊敬しています。彼がいなければ、ミルロイは助からなかったでしょう」
一方、事故後は中国GT選手権の救護体制に対する批判が強まった。
ミルロイが所属するAAIモータースポーツは、炎上直後に消防・救護スタッフが現場へ到着せず、レースに出場していたハルトフが救出に当たらなければならなかったとして、主催者の対応を「重大な過失」と批判した。
さらに、レース中継で当初、ドライバーが自力でマシンから脱出したと説明されたことについても、実際の状況とは異なると指摘した。
チームは事故原因や救助、医療対応について、独立した包括的かつ透明性のある調査を要求。正式な回答と再発防止策が示されるまで、中国国内で開催されるGTレースへの参戦を停止すると発表した。
主催者は、事故と関係者に与えた苦痛について謝罪。大会全体の人員と設備は国内モータースポーツの基準を満たしていたと説明する一方、レース運営、緊急対応、救助、医療サービスに改善すべき点があったことを認め、追加調査と再発防止策の策定を約束している。
その後、ミルロイは事故から15日後の9月20日、昨日に退院したことを報告している。
■救出時の映像
※映像には炎上した車両と救出時の様子が含まれます。
TopNewsをフォロー・購読