F1救済策「ADUO」初判定へ FIA「万能薬ではない」、ホンダF1とアウディ追い風となるか?

2026年05月15日(金)12:22 pm

記事要約


・2026年導入の救済措置「ADUO」の初判定がカナダGP後に実施

・苦戦中のホンダやアウディが注目、救済を巡る政治戦も激化

・ヒュルケンベルグは新規定を擁護「嫌なら見るな」と一蹴



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F1のエンジン開発救済システムであるADUO(※アップグレード開発・救済措置)は、カナダGP終了後に初の評価が行われる。FIA(国際自動車連盟)はこれに基づき、2026年規定の下でどのメーカーに追加の開発の自由を認めるかを決定する方針だ。

新ハイブリッド規定への批判が強まり、「どのメーカーが最も苦戦しているのか」という憶測が飛び交うなか、このシステムは今やパドック最大の関心事となっている。

FIAのシングルシーター技術部門責任者ニコラス・トンバジスは、ADUOが従来の性能調整システムとは一線を画すものであると釘を刺した。
「特定のチームやメーカーに対し、突然燃料流量を増やしたり、バラスト(重さ)を増減させたりするものではありません」と彼は語る。

「むしろ、開発面で一定の救済措置を与える仕組みです。レビュー期間中にADUOの基準を満たしたメーカーには、エンジンをさらに開発する機会が与えられます。これを過小評価すべきではありませんが、最終的に勝つためには、メーカー自ら『最高のエンジン』を作り上げる必要があることに変わりはありません。ADUOは『万能薬』ではありません。万能な解決策ではありませんし、FIAが遅れている者にボーナスポイントを付与するような性質のものでもないのです」

■ホンダ、アウディ、フェラーリ……各社の思惑が交錯

第1回ADUOレビューの対象となるのは、オーストラリアGP、中国GP、日本GP、マイアミGP、カナダGPの5戦だ。FIAはカナダGPから2週間以内に、その結果を各社へ通達する見込みとなっている。

このタイムラインを特に注視しているのが、ホンダとアウディである。両社はこの救済措置の恩恵を受ける可能性が高いと見られている。

アストンマーティンとタッグを組むホンダにとって、ADUOは極めて重要な意味を持つ可能性がある。2026年シーズンの序盤、ホンダはエンジンの振動とドライバビリティの問題に直面し、苦戦を強いられているからだ。

また、新規参入のアウディも、新開発パワーユニット(PU)において大きな壁に直面している。
同チームのガブリエル・ボルトレートは、次のように指摘する。

「僕たちは2台しかマシンがありません。1つのパワートレインを8台で運用しているチームもあります。もしそれだけの台数があれば、どれほどのデータが得られたか想像してみてください。現状は僕とニコ・ヒュルケンベルグだけで、時にはどちらかが完走できないこともあるんです」

■「嫌なら見なければいい」ヒュルケンベルグが新規定を擁護

一方で、物議を醸している2026年規定に対し、ヒュルケンベルグは擁護の姿勢を見せている。
彼はアメリカのメディア『The Drive』に次のように語った。

「自然吸気のV10やV12サウンドを愛するオールドスクールな純粋主義者※がいるのは分かります。私だってその一人です! しかし、現実はもうかつてのやり方では通用しないんです」

※純粋主義者:レースを「ドライバーの純粋な技術」や「マシン本来の限界性能」を競うものと捉える人々

「つまり、もし気に入らないなら、無理に見る必要はないということです」

一方で、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、ADUOを巡る政治的思惑が各メーカーの対外的な情報発信に影響を与えていると考えている。

「誰もが『他社の方が優れたエンジンを持っている』と言い合っています」

「例えばメルセデスは現在、技術的な正当性を得るための比較対象を探しています。『フォードのエンジンは私たちより優れている。だから私たちにも4%の性能向上を認めるべきだ』といった具合です」

さらに、フェラーリはADUOの恩恵を利用し、一気に巻き返しを図ろうとしている。イタリア紙『Corriere della Sera(コリエレ・デラ・セラ)』の報道によれば、フェラーリは今季の開幕にあたり、本来計画していた「より野心的なコンセプトのPU」の投入を遅らせ、あえて保守的な仕様でシーズンに臨んだという。

燃焼系や熱トラブルを抱えた野心的なコンセプトを一時断念し、様子を見ていた形だ。計画では、ADUOの適用対象となれば、早ければ7月のベルギーGPにも抜本的な改良型PUを投入する可能性があるようだ。

なお、FIAはすでに2027年以降、PUのテスト時間を大幅に増やす決定を下している。これは、現在の「内燃エンジンと電動出力を50:50に近づける」という設計思想を見直す動きの一環と見られている。

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