メルセデスのジョージ・ラッセルは、チャンピオン争いで厳しい立場に追い込まれつつある。
だが、元F1ドライバーのクリスチャン・ダナーは、チームメイトのキミ・アントネッリがポイントリーダーとして抜け出している状況でも、両者の実力差はほとんどないとの見方を崩していない。
ラッセルはモナコGPでも流れを変えられず、直近6戦で5勝を挙げたアントネッリに68ポイント差をつけられた。
状況が悪化する中、ラッセル自身も厳しい胸の内を明かしている。
「今、何が起きているのか理解するのに苦労しています」
アントネッリが連勝を飾る中、カナダGPでラッセルが残した「タイトルはキミ次第です」という発言は、より重く響くものとなっている。
一部では、アントネッリが経験豊富なチームメイトを単純に上回っているとの見方もあるが、ラッセルは結果が伸びない要因として不運の影響を強調している。
「これまでにも自分のパフォーマンスが落ち込んだ時期はありました。ただ、これほど不運が続き、結果につながらない状況は初めてです」
ダナーは、19歳のアントネッリに流れが傾いている状況は認めつつも、それが実力差を意味するものではないと強調している。
ダナーは、ドイツのモータースポーツメディア『Speed Week』に対し、次のように語った。
「キミにはあらゆる運が味方しており、ジョージには不運が重なっています。まずはこの状況を乗り越える必要があります。レースには流れの変化があり、いずれその局面も変わるでしょう」
さらにダナーは、ポイント差が開いている現在でも、両ドライバーの実力は非常に近いと評価する。
「本質的に、この2人は非常に近いレベルにあります。それが最も重要な点です。それはチームにとっても、ドライバーにとっても良いことです」
ラッセルへの助言について、ダナーは極めてシンプルなものだと語る。
「余計なことは考えず、ただ走り続けることです。思考を止めて、右足で踏む。それだけです。頭をクリアに保つために何が必要かを見つけることが重要です。それがすべてです。それができなければ、この世界では簡単に押しつぶされてしまいます」
ダナーは、ラッセルがこの状況から立ち直るメンタリティを持っていると確信している。
「ジョージならできると思います。彼は状況を冷静に見極めていて、自分が何をすべきか、何が重要かを理解しています。いずれ自分を立て直し、再びトップ争いに戻ってくるはずです」
一方でダナーは、アントネッリのタイトル挑戦が「完璧」だったという見方には異を唱えた。
「キミは本当に素晴らしい走りをしていて、10点満点だと思います。ただ、ヒヤッとする場面や、チームメイトを巻き込みそうになった瞬間もあり、運の良さも確かにありました。私はアントネッリの才能を最大級に評価していますが、同時にジョージの実力にも同じだけの敬意を払っています」
メルセデスF1のチーム代表トト・ウォルフは、運や不運といった議論には距離を置き、あくまでデータと現実のパフォーマンスを重視する姿勢を強調した。
「F1は物理の世界であり、神秘的なものではありません。ドライバーが突然速さを失うことも、突然チャンピオンになることもないのです」
ラッセルについても、現時点でのパフォーマンス自体は問題視していないという。
「彼がトップドライバーの一人であることは分かっていますし、心配はしていません」
一方で、モナコGPでの不振については原因分析が必要だと認めている。
「モナコGPやマイアミGPでなぜ苦戦したのか、データを分析する必要があります。ただし、シーズン全体で見れば明確な傾向はありません」
そのうえでウォルフ代表は、今後も両ドライバーへの信頼は変わらないと語った。
「ジョージが巻き返すことに疑いはありません。私たちには非常に強力なドライバーラインアップがあります。勝利とポイントを持ち帰ってくれる2人です。」
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