V8復活 vs ターボ継続 F1次世代エンジン巡りFIAとアウディが正面対立へ

2026年06月17日(水)12:05 pm

記事要約


・FIA会長は、2030年以降のF1でシンプルなV8回帰を推進

・アウディは効率と持続可能性を理由にターボ継続を主張

・FIAは低重量、低コスト、観客に響くサウンドを重視


■FIA、F1のV8ターボ論争でアウディと対立へ

F1の次世代エンジンを巡る大きな戦いが、すでに始まりつつある。FIAは、F1がV8エンジンへの回帰を視野に入れる中で、ターボチャージャーの採用を主張するアウディに対抗する姿勢を見せている。

ル・マンで取材に応じたFIA会長のモハメド・ベン・スレイエムは、広く批判されている2026年レギュレーションの後継として、よりシンプルで軽量、かつ低コストなエンジン規則を強く推進していることを明らかにした。

フランス誌『Auto Hebdo(オート・エブド)』を含む複数メディアに対し、ベン・スレイエム会長は次のように語った。

「V8は既定路線です。決定は下されています。V8は持続可能です。研究開発の話になると、2億ユーロ(約373億円)を超える費用が関わってきます。レッドブルは現在のエンジンに13億ユーロ(約2,422億円)以上を投じています。これはばかげています。ハイブリッドは残りますが、軽量でシンプルなものになります」

※1ユーロ=186.29円(6月17日時点の為替レートで換算)。2億ユーロは約372億5,800万円、13億ユーロは約2,421億7,700万円。

F1はすでに、2027年と2028年に向けてパワーユニット(PU)の比重を再び内燃エンジン側へ戻す方向に動いている。そして2030年または2031年から始まる次期レギュレーションでは、マシン重量が最小で630kgまで軽くなる可能性があると、ベン・スレイエム会長は述べた。

「V8、10%のハイブリッド化、そして持続可能燃料によって、ベース仕様で760馬力、ハイブリッドを含めると約880馬力を実現できます。ターボチャージャーはありません。ターボチャージャーは重量とコストを増やします」

「使命は、シンプルさ、コスト管理、そして観客にとって心地よいサウンドです。われわれは6つのエンジンメーカーと協議しました。彼らは軽量化とシンプルさを望んでおり、エンジンコストは150万ユーロ(約2億7,944万円)から約70万ユーロ(約1億3,040万円)へ削減されます」

■アウディはターボ継続を主張

しかし、ドイツ誌『Auto Motor und Sport(アウト・モーター・ウント・シュポルト)』は、アウディがターボチャージャーの採用に強くこだわっていると報じている。

ベン・スレイエム会長は次のように語った。

「多くの人は、ターボが必要だと言います。しかし、そうすれば再び余分な重量が発生します。ターボを搭載するなら、ウエストゲート、インタークーラー、ホースが必要になります。それらはすべて重量になります。そして費用もかかります」

この姿勢は、FIA会長とアウディ経営陣を正面から対立させるものだ。

モナコGPで、アウディCEOのゲルノット・デルナーは、同社がターボチャージャー付きエンジンを望んでいることを改めて強調した。

「私たちは効率の面から、ターボチャージャーを支持しています。アウディにとって最も重要なのは、持続可能性というコンセプトを維持し、エネルギー効率がF1レギュレーションの重要な柱であり続けるようにすることです」

報道によれば、アウディは、新たに発表したヌヴォラーリ・スーパーカーに採用されているシステムに似たツインターボ構成を望んでいるという。

ベン・スレイエム会長はこう続けた。

「もちろん、意見を交換することは良いことです。FIAはPUメーカーの要望に耳を傾けています。現在、私たちには6つのメーカーがあります。しかし、私たちの考えで言えば、低重量、シンプルな設計、そして変更に必要な時間の短縮を望んでいます」

FIA会長は、メーカー側の合意が得られれば、新規則を早ければ2030年にも導入したい考えだ。ただし、2031年以降については、統括団体であるFIAが自ら望むレギュレーションを単独で導入する可能性も示唆している。

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