スペインGPを終え、メルセデスのジョージ・ラッセルは、チームメイトで選手権首位のアンドレア・キミ・アントネッリに81ポイント差をつけられた。レース終盤には力強いペースを見せたものの、メルセデスF1のトト・ウォルフ代表も、なぜラッセルのパフォーマンスがアントネッリに対して大きく低下したのか、その原因をまだつかめていない。
一方、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、より明確な見方を示している。ラッセルはついに自分を上回る相手に出会ったとして、「アントネッリの方が上です」と断言した。
スペインGPでラッセルは、レース終盤にフェラーリのシャルル・ルクレールを追い上げた際、コース上で最速のペースを記録していた。しかし、アントネッリとのポイント差は81ポイントまで拡大している。
ウォルフ代表はフランス誌『Auto Hebdo』に対し、ラッセルが速さを失った理由について、現時点では明確な答えがないと認めた。
「分かりません。レース終盤、ルクレールを追い上げていた時のペースを見れば、彼がコース上で最速だったことは分かっています。タイヤ交換後はパフォーマンスが出なくなりましたが、問題がどこにあるのか、私にも分かりません。分析する必要があります。明らかに問題は存在していて、それが彼自身にあるのか、マシンにあるのかを突き止め、彼の力を引き出す方法を見つけなければなりません」
これに対し、シューマッハはさらに踏み込んだ見方を示している。ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』で、アントネッリがラッセルを上回っているとの考えを示した。
「ラッセルは、ついに自分に匹敵する相手と出会いました。アントネッリの方が上です。今後も、それが変わるとは思いません。アントネッリの方が柔軟ですし、若いということもあるでしょう。率直に言えば、そういうことです。長くF1にいるラッセルほど、これまでのやり方に縛られていません。それが彼の強みになっているように見えます」
シューマッハはさらに、ラッセルについて「状況に応じて考え方を切り替え、必要なことを実行に移すだけの精神的な柔軟性がありません」と指摘。年下のチームメイトが選手権をリードする状況が、ラッセルの心理面にも影響を及ぼしているとの見方を示した。
「ジョージは今、自分自身との戦いに苦しんでいます。シーズンが始まり、いきなり優勝しました。その後、上海で最初のスプリントにも勝ちました。すべてが、長い間待ち続けてきた彼のシーズンになるように見えていました。ところが、当時まだ10代で、今は20歳になったドライバーに負け、自分のチャンスが遠ざかっていくのを目の当たりにしています」
シューマッハは、現在好調のディフェンディングチャンピオンであるランド・ノリス(マクラーレン)を、アントネッリに対抗できる唯一の有力な存在とみている。
「ランドは、サーキット上での走りだけでなく、それ以外の面でも本当に大きく成長しました。スペインGPでの週末は、誰にも止められないほどの速さがありました。彼の勢いを止めたのは、バーチャル・セーフティカーだけでした」
一方、今週末のアゼルバイジャンGPで、逆転が現実的には難しいほどにリードを広げる可能性があるアントネッリ本人は、タイトル争いがすでに決したかのように語ることを避けている。
サンマリノで開催された「Sport in Fiera 2026」で、アントネッリはタイトル決定までには、まだ時間が必要だと強調した。
「いいえ、いいえ。まだあと数レース必要です。バクーは素晴らしいサーキットですし、厳しい戦いになるでしょう。でも、僕たちはかなりいい結果を出せると思っています」
もっとも、アントネッリが見据えているのは、今季のF1世界王者だけではない。イタリアメディアから自身の目標を問われると、その先にある大きな野望を明かした。
「皆さんも、その一部は分かっていると思います。世界チャンピオンになり、その後、史上最高のドライバーの一人になることです。今はまず、最初の目標を達成しようとしています。それを達成してから、次のことを考えます。」
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