アストンマーティンが、セパンで開催されるバーレーンGPを前に、2026年シーズンの異例の物流対応を明かした。レースチーム・フレート・コーディネーターのデール・マゴリアンは「今年はこれまでで最も忙しい年です」と説明。ガレージやホスピタリティで使う機材をまとめた海上輸送用セットは6セットあり、そのうち1セットがバーレーンに約半年間取り残されていたという。
2017年以来9年ぶりにF1が戻るセパンは、サヒールに代わってバーレーンGPの開催地となり、物流チームは輸送計画の大幅な組み直しを迫られた。
バーレーンGPとサウジアラビアGPの延期後、アストンマーティンは正式決定の数日前にセパン開催の可能性を把握し、DHLと対応を協議した。
※DHL:F1の物流パートナーを務める国際物流大手
シンガポールGP用セットをマレーシアへ回し、セパンでのレース後に陸送する案も検討したが、通関手続きや輸送車両の不足により、シンガポールGPに間に合わない恐れがあった。欧州用セットを送る案も検討する中、プレシーズンテスト後からバーレーンに残されていたセットを回収できる可能性が浮上し、この案を採用した。
このセットは、当初予定されていたレースで再び使用することを見込み、ガレージやホスピタリティ設備を組み上げたまま保管されていた。長期間使われていなかったため、電気機器やバッテリーの状態も懸念されていた。
現地での梱包は契約業者が担当したが、気温は50℃近くまで上がり、毎日約4時間は作業できない状況だった。
チームは設備の解体前にサーキット側から150枚を超える写真を受け取り、セットの内容と現在必要なものを照らし合わせて不足品を洗い出した。不足品のリスト作成から英国での梱包、別のコンテナでマレーシアへ送り出すまでを、24時間以内に済ませる必要があった。
搬出に使う港としてオマーンの港も候補に挙がったが、港までの陸送に21日を要するため採用されず、船をチャーターする案でも日程に間に合わなかった。最終的にDHLが別の港を見つけ、セットはそこから約2週間かけてマレーシアへ運ばれた。
1セットを約半年間使えなかった影響は、その後の輸送計画にも及んだ。通常なら英国へ戻すスペインGP用セットを、マドリードからサンパウロGPへ直接輸送し、イタリアGP用セットもメキシコGPへ送っている。
EU域内から欧州以外の開催地へ直接輸出するのはチーム初で、一時輸出入に使う通関書類「カルネ」の手続きも複雑になる。2026年は同様の輸送を2度行うことになった。
シーズン終盤も、急な変更に備えた輸送計画を用意している。マゴリアンは「この仕事では数カ月先まで考えておく必要があります」と語っており、9年ぶりのセパン復帰の裏では、何カ月も先を見据えた物流の組み替えが続いている。
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