・ホンダPU振動トラブルの3つ目の可能性として100%持続可能燃料の影響が指摘される
・燃焼のわずかな違いがピストン挙動を乱し、不規則な力が振動につながる可能性
・HRC Sakuraでは原因特定に向け多数のテストを継続、複合的要因の解明を急ぐ
ホンダF1の新パワーユニット(PU)に発生している振動トラブルを考察する。振動トラブルの3つ目の可能性が「燃料」だ。
今季のF1では100%持続可能燃料(カーボンニュートラル燃料)が使用されている。従来の化石燃料とは異なる新しい燃料だ。アストンマーティンでは、メインスポンサーであるアラムコが提供している。
エンジンは燃料を圧縮し、爆発させることでピストンを動かす。
もし燃焼が完全に安定していれば問題は起こらない。しかし爆発力やタイミングにわずかな違いが生じれば、不規則な力が発生し振動につながる可能性もある。
ホンダの本拠地HRC Sakuraでは、現在も「何十パターン」ものテストを一つずつ行いながら振動の原因を調査している。
もし原因が起振源であるPU内部のパーツだと特定されれば、ホンダはすぐに対策を打つはずだ。実際、このオーストラリアにも改良版を持ち込んでいるというが、十分な効果は発揮していないようだ。
しかしPU以外の要素が関係している場合は、複数のパートナーとの調整も必要となるため、解決まで時間を要する可能性もある。
ホンダはこれまでも、パートナーを批判するような発言は控え、原因究明と技術的な改善に集中する姿勢を貫いてきた。
エンジン単体ではマシンは動かない。燃料、オイル、ギアボックス、車体など多くの要素が組み合わさって初めてF1マシンは走る。F1ではこれらの要素が密接に関係しているため、問題を解決するには各パートナーとの緊密な協力が欠かせない。
これまで数々の勝利を積み重ねてきたホンダは、パートナーを批判するような発言は控え、原因究明と技術的な改善に集中する姿勢を貫いてきた。HRC Sakuraでは「複合的な要因」のどこかで生まれているはずの「振動」の正体を突き止めるため、ホンダは今も調査を続けている。
我々の取材で一つだけはっきりしていることがある。それは、ホンダF1の船出はいつの時代も厳しいものだが、逆境に負けず「必ず勝つ」という強い信念を持っていることだ。これはどのホンダ関係者に取材しても同じ答えが返ってくる。自分たちの技術力を信じ、その力で必ず世界一になるという覚悟だ。
F1では勝てずに撤退していくメーカーも少なくない。世界一に立つというのは、それほど簡単なことではない。しかしホンダは、これまでもどん底から頂点に立ってきた。それは歴史が証明している。
唯一の日本メーカーが挑む新しい章(ドラマ)を自分事として見てみると、新しいF1の楽しみ方が見えてくるだろう。
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