・2027年のPU比率変更案を巡り、アウディとフェラーリが強く抵抗
・アウディは参戦2年目での再設計と約18億超の追加負担に反発
・変更実現には6メーカー中4社の同意が必要、鍵を握るのはキャデラック
F1の物議を醸すエンジン規則を巡る“内戦”が激化する中、アウディが最大の障害として浮上している。一方で、F1のステファノ・ドメニカリCEOはV8エンジンの復活を公然と支持している。
現在F1では、議論を呼んでいる2026年型パワーユニット(PU)によって導入された極端な電動依存を緩和するため、2027年のレギュレーション変更案を巡って意見が分かれている。
FIA(国際自動車連盟)とFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)は、2027年以降、内燃機関と電動出力の比率を「60対40」に変更することを望んでおり、さらに2030年または2031年には、より軽量なV8エンジン搭載マシンへの移行案も議論されている。
ドメニカリCEOはフランスの『L’Equipe』に対し、次のように語った。
「私はこの動きを1000%支持しています。よりクリーンな燃料、軽量なマシン、そしてV8エンジンによって、私たちはモータースポーツ本来の姿を取り戻せるでしょう。だからこそ、私はずっとF1を愛してきたのです」
しかし、マックス・フェルスタッペンを筆頭とするドライバーたちの批判が高まっているにもかかわらず、水面下では依然として大きな政治的抵抗が存在している。
ドイツの専門誌『Auto Motor und Sport』は、現在2027年の調整を全面的に支持しているのはメルセデスとレッドブルのみで、ホンダはより広範な合意が得られれば妥協に応じる構えだと報じている。
しかし、フェラーリとアウディは依然として強い抵抗を示している。
同誌によれば、特にアウディは、F1参戦わずか2年目で大規模なエンジン再設計を行うことを、技術面と財政面の両方で極めて大きな負担だと捉えている。
フォルクスワーゲン・グループ傘下のアウディは、2028年により大規模なアップデートを計画しており、前倒しの再設計に伴う推定1000万ユーロ(約18億5000万円)の追加コストを負担したくない考えだ。
※1ユーロ=185.45円(5月29日)で換算すると、1000万ユーロは約18億5000万円
一方、フェラーリの懸念はやや異なる。
フェラーリは、FIAのADUO(※アップグレード開発・救済措置)を活用してメルセデスとの差を縮めようとしている最中に、再び内燃機関(ICE)の性能で後れを取ることを恐れている。
『Auto Motor und Sport』によると、フェラーリのエンジニアたちは現在、将来的な再設計を検討する前に、ADUO規則に基づき、既存の2026年型エンジンパッケージの改良に多くのリソースを投入しているという。
60対40への変更を実現するには、FIAの特別多数決制に基づき、登録済みの6PUメーカーのうち4メーカーの同意が必要となる。
そのため、新規参入のキャデラックが重要な一票を握る可能性がある。
ただし、多くの関係者は、キャデラックが現在フェラーリ製カスタマーPUに依存していることから、最終的には政治的にフェラーリ側につくとみている。
論争が拡大し、F1最大のスターであるフェルスタッペンが引退を示唆し、他カテゴリーにも広く注目が集まる中、ドメニカリCEOは現行レギュレーションへの反発の大きさを公には最小限に見せようとしている。
「レギュレーションについて不満を言っている人はごくわずかです」とドメニカリCEOは主張した。
「こうした変更(2026年の新PU規則)が必要だったことを忘れてはいけません。そうしなければ、メーカーはエンジン供給をやめていたでしょう。私たちは完全な電動化を望んでいなかったため、新規メーカーを呼び込むための妥協点を見つけたのです。」
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