・アストンマーティンはホンダとの契約後、F1経験豊富なエンジニアの多くが離れていた事実を把握
・再始動したホンダF1は人員減と予算制限の影響で不利な体制となり、開発面で苦戦
・メルボルンではバッテリー不足や振動問題で低燃料走行も制限され、決勝出走すら不透明
アストンマーティンがホンダとワークス契約を結んだ後になって、経験豊富なエンジニアの多くがチームを離れていた事実を把握していたことが明らかになった。これはメルボルンで深刻化しているチームの危機の背景にある問題だ。
エイドリアン・ニューウェイは金曜日、昨年11月にチームオーナーのローレンス・ストロールとCEOのアンディ・コーウェルとともに東京を訪れた際、初めてその状況を知ったと明かした。訪問の目的は、ホンダが開幕戦に向けた当初のパワー目標を達成できないという「うわさ」を調査することだったという。
ニューウェイは次のように語った。
「私たちがその事実に気づいたのは、実際には昨年11月になってからでした。調査を進めるうちに、再始動した際に、もともとのスタッフの多くが戻ってきていなかったことが分かったのです。ですから契約当時、私たちはその状況を認識していませんでした」
ニューウェイによれば、かつてレッドブルと提携していたホンダは2021年末にF1活動を終了。その後、体制を再構築した際には、チャンピオン獲得に貢献したエンジニアの多くがすでに別の分野へと移っていたという。
「当初のグループの多くは、後になって分かったことですが、解散してしまい、太陽光パネルの開発など別の仕事に移っていたようです。再編されたチームの多くは、実際にはF1経験の浅い人材でした。以前のような経験値はなかったのです」
さらに、ホンダが本格的に再参入した2023年には、すでにエンジン開発にも予算上限(バジェットキャップ)が導入されていた。
「彼らが戻ってきた2023年は、ちょうどエンジンの予算制限が導入された最初の年でした。その間、他のメーカーは2021年から2022年にかけて開発を続けていました。既存のチーム体制を維持し、予算制限もない状態で開発できたわけです」
「ホンダは、言ってみれば当初のチームの約30%ほどの体制で戻ってきたうえ、すでに予算制限の時代に入っていました。つまり、かなり不利な状況からのスタートだったのです」
その影響は、メルボルンのアルバートパークで現実の問題として表れている。
アストンマーティンはメルボルンに4基のバッテリーを持ち込んだが、コンディショニングや通信トラブルにより、すでに2基を失った。現在残っているのはマシンに搭載されている2基のみであり、次戦中国GPはわずか1週間後に迫っている。
ニューウェイは次のように認めた。
「これだけバッテリーに損傷が出ている状況を考えると、かなり恐ろしい状態にあります」
代替バッテリーを空輸できるのかと問われると、ニューウェイの答えは明確だった。
「残念ながらできません。そもそも予備がないのです」
燃料はバッテリーの振動を抑えるダンパーの役割も果たすため、ホンダは燃料搭載量を減らした走行を大きく制限している。これによりアストンマーティンは本格的な低燃料アタックを行えず、状況は悪循環に陥っている。
メルボルンに向けてホンダが行った緊急対策について、フェルナンド・アロンソは率直にこう語った。
「バーレーンと大きな違いは感じませんでした」
アストンマーティンがメルセデス製パワーユニットへ戻る可能性について質問されたメルセデス代表のトト・ウルフは、それはチーム自身の選択だったと強調した。
「ホンダ、そしてパートナーのアラムコとともにワークスチームになるというのは、彼ら自身が意識的に下した決断でした。そのため、私たちは彼らを送り出すしかなかったのです」
ニューウェイは、この危機が現場のスタッフにも大きな負担を与えていると明かした。
「メカニックたちは今朝4時まで作業していました。もう限界に近い状態です」
日曜日の決勝で2台ともグリッドに並べることができるのかという問いに対しても、ニューウェイは明言を避けた。
「現時点では、はっきりしたことを言うのは非常に難しいです」
さらにニューウェイは、ホンダは今後すぐに2027年型パワーユニットの開発へ重点を移すべきだとも指摘した。
「2027年に向けては、内燃エンジンの出力を大幅に引き上げる必要があるのは明らかです。その開発こそが、彼らの最優先課題になるべきでしょう」
なお金曜日、アストンマーティン・ホンダは明らかに回転数を落として走っており、まともなレーシングスピードで走ることはできなかった。