2026年F1第13戦イタリアGPで10位に入った角田裕毅(レーシングブルズ)のスタート手順を巡り、アウディがFIAに上訴の意思を通知した。
角田は追加フォーメーションラップの原因になった可能性について審議されたが、スチュワードは「追加措置なし」と判断。しかし、11位に終わったガブリエル・ボルトレートを擁するアウディは、この裁定に異議を唱えている。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)のクラッシュによる赤旗中断後、レースはスタンディングスタートで再開されることになった。
フォーメーションラップを終えた角田は、別のグリッド位置へ向かいかけたものの、直前に誤りに気づいて進路を修正。正しい14番グリッドに停止した。
ただし、急いで位置を修正したため、角田のマシンはコース内側の壁へ向かって斜めに停止していた。
レースディレクターのルイ・マルケスは、この状態でスタートすることに不安があると判断。スタートを中止し、追加フォーメーションラップを指示した。
F1競技規則の第B5.9.4条では、追加フォーメーションラップの原因となったドライバーが走行を続けられる場合、そのラップの終わりにピットレーンへ入り、ピットレーンの最後尾からスタートしなければならないと定められている。
これに従わずグリッドからスタートした場合は、10秒ストップ&ゴー・ペナルティが科される。
角田は追加フォーメーションラップ後もピットレーンへ入らず、14番グリッドから再スタートした。このため、レース後にスタート手順違反の疑いで審議対象となった。
スチュワードは映像や各種データを確認し、レーシングブルズの代表者から事情を聴取した。
その結果、角田のマシンは斜めを向いていたものの、フロントタイヤは指定されたグリッド枠内に収まっており、他のドライバーにも影響を与えていなかったと判断した。
また、追加フォーメーションラップは角田が直接発生させたものではなく、レースディレクターが状況を考慮したうえで決定した措置だったと説明した。
さらに重要な点として、レースコントロールは角田やレーシングブルズに対し、「角田が追加フォーメーションラップの原因とみなされている」と通知していなかった。
そのため、レーシングブルズには角田をピットレーンへ入れる理由がなく、規則に従うために必要な情報も与えられていなかったとして、スチュワードは「追加措置なし」と結論づけた。
一方、アウディは、角田の停止状態が実質的に追加フォーメーションラップの原因だったとみている。
アウディは、追加フォーメーションラップの原因となったドライバーにピットレーンスタートを義務づける第B5.9.4条の適用について懸念を示し、スチュワードの裁定に対する上訴の意思をFIAへ通知した。
角田は10位で1ポイントを獲得し、アウディのボルトレートはその直後の11位だった。角田にペナルティが科されて順位を落とした場合、ボルトレートが10位へ繰り上がる可能性がある。
現段階でアウディが行ったのは、正式な上訴そのものではなく、「上訴する意思」の通知だ。
この手続きにより、アウディには正式に上訴するかどうかを検討するための96時間が与えられる。チームが手続きを進めず、正式な上訴を行わない可能性も残されている。
FIAが発表した最終レース結果と選手権ポイントには、スチュワード文書69に対してアウディが上訴の意思を通知している旨が注記されており、角田の10位と1ポイントは完全には確定していない。
追加フォーメーションラップの原因とみなされたドライバーが、その事実を通知されないままグリッドからスタートした今回と完全に同じF1の処分例は確認できない。
ただし、本来ピットレーンからスタートすべきドライバーがグリッドからスタートした事例では、10秒ストップ&ゴー・ペナルティが実際に科されている。
今回の争点は、角田のマシンが追加フォーメーションラップの「直接的な原因」だったのか、そして原因とみなされていることを知らされていない角田に、ピットレーンからのスタートを求めることができるのかという点にある。
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