レーシングブルズのリアム・ローソンは、2023年、F1へたどり着けないのではないかという不安を初めて抱き、当時レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めていたヘルムート・マルコ博士に、デビューの機会を求めて直談判したと明かした。
その数時間後、ダニエル・リカルドがオランダGPのフリー走行2回目でクラッシュし、手を負傷。
ローソンは予想外の形で、F1デビューの機会をつかむことになった。
F1公式の動画シリーズ『Off The Grid』で、ローソンは、家族が自身のレース活動を支えるために払った犠牲を振り返った。
両親は、ローソンがカートを続けられるよう自宅を売却した。
家族旅行なども諦め、国際舞台でダンスに取り組んでいた2人の姉妹も、活動を断念したという。
ローソンは2023年、日本のスーパーフォーミュラでタイトル争いに加わっていたが、8月のモビリティリゾートもてぎ戦でクラッシュした。
この出来事をきっかけに、F1へたどり着けない可能性を初めて意識したという。
その数日後、オランダGPが行われるザントフォールトへ向かったローソンは、金曜朝、フリー走行1回目を前にマルコ博士のオフィスを訪れた。
「なぜ僕にチャンスをくれないんですか?これだけのお金を僕に投じてきたのに、何のためなんですか?僕はこのプログラムに5年間もいるんです」
しかし、マルコ博士は話を打ち切り、ローソンは落胆したままオフィスを後にした。
その数時間後、リカルドがフリー走行2回目でクラッシュし、手を負傷した。
ただし、ローソンの起用がすぐに決まったわけではなく、F1マシンのドライブ経験がある別のドライバーを起用できないかとの検討もあった。
その後、ローソンがマルコ博士のもとを訪れると、「準備はできているか」と尋ねられた。ローソンが『はい』と答えると、この短いやりとりでリカルドの代役に起用され、F1デビューが決まった。
2025年にレッドブルへ昇格したものの、わずか2戦でレーシングブルズへ戻ったローソンは、2026年に評価を取り戻している。
第9戦イギリスGPまでに7度のポイント獲得を果たすと、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハもその走りを高く評価し、レーシングブルズへの復帰後、本来の力を取り戻したとの見方を示した。
ローソン自身は、2027年の去就よりも、現在の好調を維持することに集中していると強調している。
「今は、僕たちがこれまでやってきたことを続けることだけに集中しています。そして最近は、それがとてもうまく機能しています」
続く第10戦ベルギーGPは12位で無得点に終わったものの、第11戦ハンガリーGPでは8位に入り、開幕11戦のうち8戦でポイントを獲得。
43ポイントでドライバーズランキング9位につけ、レーシングブルズも66ポイントでコンストラクターズランキング5位に浮上した。
家族の犠牲に支えられながら、自ら機会を求め続けてきたローソンは、レッドブルでわずか2戦を走った後に降格する苦境を乗り越え、再び存在感を高めている。
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