元F1ドライバーのジャン=ルイ・シュレッサーが、電動化への傾斜を強めるF1の方向性を厳しく批判した。
シュレッサーは、1988年のF1イタリアGPでアイルトン・セナと接触し、マクラーレン・ホンダの開幕からの連勝を「11」で止める結果を招いたことで知られるフランス出身のドライバーだ。
物議を醸している2026年レギュレーションによって、F1が環境に配慮した存在になるという主張を一蹴している。
1983年と1988年にF1世界選手権へエントリーした77歳のシュレッサーは、現在の内燃エンジンと電動パワーのバランスは、電動側に傾きすぎているとの意見に同調している。
「電子技術がレースを支配しているのは残念です」とシュレッサーはスペイン紙『Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』に語った。
「懸念すべきことです。エンジンに占める電動部分の割合は、40%を超えるべきではありません」
また、シュレッサーは、新世代マシンを環境に優しいものとして打ち出すF1の姿勢も否定した。
「F1が環境に優しいと言うのはナンセンスです」とシュレッサーは述べた。
「環境問題を抱えたくないのであれば、すべてのレースをやめるべきです。半電動のマシンだとか、そんなくだらないものを持ち込むのですか?それは間違った方向に進んでいます」
FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ベン・スライエム会長は、2030年以降に向けて、より簡素で軽量かつ低コストなエンジンの導入を推進している。その有力案の一つが、V8エンジンを復活させ、ハイブリッド要素を縮小する構想だ。
しかし、シュレッサーは、大手メーカーがそのような大幅な方針転換を受け入れることに懐疑的だ。
「僕は、実現する可能性は低いと思っています」とシュレッサーは語った。
「多くのメーカーは、取締役会の受けを良くするために、マシンが環境面で持続可能だという考えを売り込んでいます。たとえば、アウディがF1に参入したのもそのためです。BYDのF1参入を働きかけようとするかもしれませんが、V8は夢のような話ですし、V10ならさらに良いでしょう。ただ、実現するとは思いません」
シュレッサーのF1世界選手権へのエントリーは2戦のみで、決勝に出走したのは1988年イタリアGPの1戦だけだった。
F1で最もよく知られているのは、このレースでアイルトン・セナに周回遅れにされる際に接触した場面だ。この接触でセナはリタイアし、マクラーレンは1988年シーズンの全戦制覇を逃した。
「セナは僕のギアボックスのすぐ後ろまで迫っていて、僕には選択肢がありませんでした」とシュレッサーは振り返った。
「もし僕がスロットルを戻していたら、彼が僕に追突していたかもしれません。だから、単純に不運だったのです」
シュレッサーによると、パトリック・ヘッドが彼の起用を求めたため、フランク・ウィリアムズから急きょ連絡を受け、同レースに出場することになったという。
「フランクから電話があり、金曜日にイタリアへ来て走れるかと聞かれました」とシュレッサーは語った。
「彼は『そのシートを望んでいるドライバーが10人いる。君に電話しているのは、パトリック・ヘッドが君をマシンに乗せたがっているからだ。もし乗りたくないなら、それでも構わない』と言っていました」
シュレッサーは、ウィリアムズについて「良い人でしたが、無礼でした」と評している。
シュレッサーは1983年フランスGPにもRAMからエントリーしたが、予選を通過できなかった。
※RAM:1976年から1985年にかけてF1に参戦したイギリスのレーシングチーム「RAMレーシング」
「あのマシンの直線スピードは、僕のツーリングカーと同じくらいでした」とシュレッサーは冗談めかして振り返った。
シュレッサーは、若手ドライバーがジュニアカテゴリーを勝ち上がるために必要となる莫大な費用についても、「異常だ」と批判した。
「公平ではありません」とシュレッサーは語った。
「F1にたどり着くまでに必要な費用が高すぎるというマックス・フェルスタッペンの意見に、僕も全面的に同意します」
現在、息子のルイはモータースポーツで自身のキャリアを築こうとしているが、シュレッサーは、期待するほど勝てていないと認めている。
「彼はもっと勝つ必要があります」とシュレッサーは述べた。
「まだ十分にレースで勝てていません。それに、現在のFIAフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ(FREC)は参戦費用が高すぎます。」
●V8復活 vs ターボ継続 F1次世代エンジン巡りFIAとアウディが正面対立へ
●レッドブルはADUO評価を覆せるのか、FIAと協議継続「影響は大きい」
●V8爆音エンジン復活を再主張「630kgマシンへ」FIA会長ベン・スレイエムが描くF1の未来像に波紋
TopNewsをフォロー・購読