F1のV8復活は「夢のような話」セナと接触した元F1ドライバーが実現を疑う理由とは

2026年07月17日(金)5:00 am

記事要約


・シュレッサーがF1の電動化と環境配慮をうたう姿勢に強い疑問

・ベン・スライエム会長のV8復活案、メーカー受け入れには懐疑的

・若手ドライバーの高額な参戦費用にも厳しい見解


■シュレッサー、F1の電動化に強い疑問

元F1ドライバーのジャン=ルイ・シュレッサーが、電動化への傾斜を強めるF1の方向性を厳しく批判した。

シュレッサーは、1988年のF1イタリアGPでアイルトン・セナと接触し、マクラーレン・ホンダの開幕からの連勝を「11」で止める結果を招いたことで知られるフランス出身のドライバーだ。

物議を醸している2026年レギュレーションによって、F1が環境に配慮した存在になるという主張を一蹴している。

1983年と1988年にF1世界選手権へエントリーした77歳のシュレッサーは、現在の内燃エンジンと電動パワーのバランスは、電動側に傾きすぎているとの意見に同調している。

「電子技術がレースを支配しているのは残念です」とシュレッサーはスペイン紙『Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』に語った。

「懸念すべきことです。エンジンに占める電動部分の割合は、40%を超えるべきではありません」

また、シュレッサーは、新世代マシンを環境に優しいものとして打ち出すF1の姿勢も否定した。

「F1が環境に優しいと言うのはナンセンスです」とシュレッサーは述べた。

「環境問題を抱えたくないのであれば、すべてのレースをやめるべきです。半電動のマシンだとか、そんなくだらないものを持ち込むのですか?それは間違った方向に進んでいます」

■V8復活構想の実現性に懐疑的

FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ベン・スライエム会長は、2030年以降に向けて、より簡素で軽量かつ低コストなエンジンの導入を推進している。その有力案の一つが、V8エンジンを復活させ、ハイブリッド要素を縮小する構想だ。

しかし、シュレッサーは、大手メーカーがそのような大幅な方針転換を受け入れることに懐疑的だ。

「僕は、実現する可能性は低いと思っています」とシュレッサーは語った。

「多くのメーカーは、取締役会の受けを良くするために、マシンが環境面で持続可能だという考えを売り込んでいます。たとえば、アウディがF1に参入したのもそのためです。BYDのF1参入を働きかけようとするかもしれませんが、V8は夢のような話ですし、V10ならさらに良いでしょう。ただ、実現するとは思いません」

■1988年モンツァでセナと接触、マクラーレンの全戦制覇が消滅

シュレッサーのF1世界選手権へのエントリーは2戦のみで、決勝に出走したのは1988年イタリアGPの1戦だけだった。

F1で最もよく知られているのは、このレースでアイルトン・セナに周回遅れにされる際に接触した場面だ。この接触でセナはリタイアし、マクラーレンは1988年シーズンの全戦制覇を逃した。

「セナは僕のギアボックスのすぐ後ろまで迫っていて、僕には選択肢がありませんでした」とシュレッサーは振り返った。

「もし僕がスロットルを戻していたら、彼が僕に追突していたかもしれません。だから、単純に不運だったのです」

シュレッサーによると、パトリック・ヘッドが彼の起用を求めたため、フランク・ウィリアムズから急きょ連絡を受け、同レースに出場することになったという。

「フランクから電話があり、金曜日にイタリアへ来て走れるかと聞かれました」とシュレッサーは語った。

「彼は『そのシートを望んでいるドライバーが10人いる。君に電話しているのは、パトリック・ヘッドが君をマシンに乗せたがっているからだ。もし乗りたくないなら、それでも構わない』と言っていました」

シュレッサーは、ウィリアムズについて「良い人でしたが、無礼でした」と評している。

シュレッサーは1983年フランスGPにもRAMからエントリーしたが、予選を通過できなかった。

※RAM:1976年から1985年にかけてF1に参戦したイギリスのレーシングチーム「RAMレーシング」

「あのマシンの直線スピードは、僕のツーリングカーと同じくらいでした」とシュレッサーは冗談めかして振り返った。

■若手ドライバーの高額な参戦費用にも苦言

シュレッサーは、若手ドライバーがジュニアカテゴリーを勝ち上がるために必要となる莫大な費用についても、「異常だ」と批判した。

「公平ではありません」とシュレッサーは語った。

「F1にたどり着くまでに必要な費用が高すぎるというマックス・フェルスタッペンの意見に、僕も全面的に同意します」

現在、息子のルイはモータースポーツで自身のキャリアを築こうとしているが、シュレッサーは、期待するほど勝てていないと認めている。

「彼はもっと勝つ必要があります」とシュレッサーは述べた。

「まだ十分にレースで勝てていません。それに、現在のFIAフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ(FREC)は参戦費用が高すぎます。」

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