アウディのF1プロジェクトは着実に前進している。しかし、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、フォルクスワーゲン(VW)グループ全体が直面する危機を背景に、早期に結果を出せなければF1計画への圧力が強まる可能性があるとみている。
アウディはグリッド後方から抜け出し、中団争いに加わるまで競争力を高めている。ただし、「2030年までにF1世界選手権のタイトル争いに加わる」という目標だけで、社内外の関係者をいつまでも納得させられるとは限らない。
ラルフはドイツ紙『Bild(ビルト)』に対し、ニコ・ヒュルケンベルグが夏休み前に今季初ポイントを獲得したことを喜びながらも、アウディにはさらに成果が必要だと指摘した。
「ニコが夏休み前に今季初ポイントを獲得できたことを、私も本当にうれしく思いました。しかし、アウディは一度成果を示すだけでは十分ではありません。VWグループは現在、危機的な状況に直面しています。アウディ社内でF1への投資に対する風向きが悪くならないよう、レーシングチームは結果を出す必要があると思います」
「2030年に世界選手権を争うという目標では、遅すぎるかもしれません。もっと早く結果を出す必要があります」
一方、現場では現在の進歩に確かな手応えを感じているようだ。ヒュルケンベルグは、オランダGPの開催地ザントフォールトで、シーズン序盤に厳しい時期を経験しながらも、チームが一丸となって改善に取り組んできたと振り返った。
「シーズンが始まってから、僕たちは厳しい時期も経験してきました。それでもチーム全員が結束し、取り組みを続けてきました。今では中団で戦える競争力のあるパッケージを手にしていると思います」
「僕たちの目標も変わりました。これからは、より頻繁にポイントを獲得したいと思っています。最近の進歩には満足していますし、チームとして多くの面で成長できたと感じています」
また、ヒュルケンベルグは、アウディが完全に新しいパワーユニット(PU)をゼロから開発していることが、既存メーカーと比べて不利に働く可能性についても言及した。
「僕たちはゼロからスタートしました。それに、ほかのエンジンメーカーにはもっと多くのマシンがありますが、僕たちには2台しかありません。だから、開発には時間がかかります」
アウディF1のマッティア・ビノット代表も、長期的な視点からプロジェクトを評価する必要があるとの考えを示した。
「私たちはまず、必要なノウハウと適切なスキルを身につける必要がありました。これは長期的なプロジェクトです。それでも、数年以内にアウディがトップレベルのPUを手にすると私は確信しています」
ドイツ誌『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によると、アウディはすでに2028年の大きなステップを見据え、大幅に刷新されたPUの投入を計画しているという。また、ドライバー育成を担うジュニアプログラムについても、順調に進展していると報じられている。
ビノット代表は2026年と2027年を開発期間と位置付け、レース結果だけでプロジェクトを評価すべきではないと強調した。
「2026年と2027年は開発の年です。私たちはレース結果だけで評価されるべきではありません。最初の大きな節目は2028年です。その時には、クオリティが大幅に向上すると期待しています」
同誌はさらに、アウディのF1プロジェクト再構築がレーシングチームの枠を超え、VWグループ全体にとっても参考になる可能性があるとの見方を示した。
「おそらく、これはVWグループの他の部門にとっても、優れたモデルになり得るでしょう。」
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